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Blog・News学会ベースの考え方を歯科診療に反映すべきです

学会ベースの考え方を歯科診療に反映すべきです
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 よく「学会」と言われますが、任意団体の学会ではなく、ここでいう学会とは「一般財団法人口腔保健協会」に所属する学会のことを指します。

 歯科は全身疾患と関連性があるものも多くありますが、一方的な歯科の基準ではなくて、医科や多職種と共通のプラットフォームがある学会ベースの論理的な基準が必要と考えます。

 上記の資料は私も講話や患者さんに説明を行うにあたって、根拠としている資料で、日本老年歯科医学会のものです。

 

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「おおむね 20 歯以上,咬合力 は 200 N 以上であれば,口腔機能が維持される場 合が多く,口腔機能低下症の特異度は高いといえる。これは,本邦で推進されている 8020 運動(日 本歯科医師会)や短縮歯列(shortened dental arch) の概念にも通じるものである。」

 通常は親知らずを除いた歯が28本あります。歯を20本残すことができれば、概ね咀嚼する力を維持することができるという内容です。

 

 また、歯科も参加する多職種の研修会になると、食事とその栄養についても共通認識を持たねばなりません。私たちの世代の歯科医師は大学で「栄養」や「食事」について講義で教わることはありませんでした。しかし、平均寿命が延び、超高齢化社会を迎え、医療費削減、介護予防の大切さが語られる中、歯科ができることを見直す必要性もあります。

 例えばサルコペニアやフレイル、ロコモ、低栄養(低アルブミン)・低体重に対してはどうでしょうか。筋肉を作る必須アミノ酸「ロイシン(牛肉に多く含まれる)」を多く摂取できるようなれば良いですね。これには歯を治すことはもちろん、食物のテクスチャ(性状)を変えることも考えなければいけませんね。

 最近の講習会では総入れ歯で硬い「リンゴ」を丸かじりさせるものもあります。しかし現実的には多くの歯科医師はそれが在宅の場では困難なことも知っています。

 高齢者の生命の存続のために口腔や咀嚼・嚥下に必要な機能としてはリンゴを切断・破断する機能ではなくて、咬合力が200N以下でも、安全にカロリーが足りるに充分な食事を営むことではないでしょうか。

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 医科におけるがん治療においては「標準治療」といわれるスタンダードなものがあります。ポジションペーパー(公式見解)に基づく根拠がある治療方法です。よく問題になるのは「民間療法」「代替療法」です。例えば抗がん剤に対しての根拠のない悪いイメージがついているのを利用して、すがる患者を自方の利益に誘引するメソッドを使います。悪く言えば、「ニセ医学」「トンデモ療法」です。

 歯科においても、歯科医師会や学会が根拠を明示しているにも関わらず、「アマルガム切削は水銀によるガスが発生するので、ガスマスクを装着しなければならない」などと、自説を流布する歯科医師もいます。しかし歯科医師会ではこれについては口腔外バキュームを使用していれば問題はないとしています。

 

 根拠(エビデンス)にもグレードがあるのをご存知でしょうか。グレードとは段階、等級みたいなものと考えても良いと思います。

 例えば上記の貼り付けは日本歯周病学会のものです。これについて、エビデンスレベルはどうでしょうか。

「口腔ケア(狭義のもので,口腔衛生管理に絞る;直接的な歯周病治療ではない) は呼吸器疾患の発症を抑制する。しかし,確固たるエビデンスはない。  (推奨グレード B,エビデンスレベル 2a)」

「B」というと少しグレードが低い気もしますが、公衆衛生、疫学的な調査ではない、臨床・診療のものについてグレード「A」はあまりありません。

 私たち歯科医師も、執筆者が何を参照にしているのか、確認します。活字になれば、正しく見えるものです。しかしその意見を吟味し、根拠を確認し、またそういうものを日々の歯科診療・臨床や多職種との意見交換、場合により指導に反映させていかないといけません。

 当院では1ヶ月に1度は院内でミーティングを行い、また診療後や休日の研修会、学会にも参加します。

 何が患者のためになるのか?よく言う安易な経営戦略の差別化ではなく、心から地域の歯科医療ができるように変わり続けていきたいとアキラデンタルオフィスは考えています。