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糖尿病のスティグマ
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〜今回の内容は一般社団法人佐世保市歯科医師会月報に寄稿したものです〜

 

糖尿病の「スティグマ(stigma)」とは、糖尿病のある人が社会や周囲から「だらしない」「自分で招いた病気」といった偏見や誤解に基づく否定的な見方をされること、あるいは自分自身が恥や罪悪感を抱いてしまうことを指します。このようなスティグマは、治療の妨げとなり、心身の健康に悪影響を与えることがあります。

〈実際の声〉患者の思い

●「2型糖尿病って言うと、『自己管理ができない人』と思われそうで、職場では話していません。」
(40代男性・会社員/日本糖尿病協会「さかえ」)

●「子どもが学校でインスリン注射をしていたら、“ヤバい薬を使ってる”とからかわれました。」
(1型糖尿病児の母親/NHKハートネットTV)

●「病院で『当然の結果』と叱られて、通院がつらくなり、しばらくやめていました。」
(50代女性/文献調査より)

●「夫から『運動してないから糖尿病になったんでしょ?』と言われて、とても傷つきました。」
(60代女性)

このように、家庭や職場、学校、医療現場など、日常のあらゆる場面で患者は「どう見られているか」を強く意識し、孤立や無力感を感じることがあります。

スティグマが治療継続に与える影響

スティグマによって生じる「恥ずかしさ」や「否定的な感情」は、通院の中断、服薬・自己管理の回避、心理的ストレスの増加など、糖尿病治療の継続を困難にします。とくに医療従事者からの無意識な指導や表現が、患者のモチベーションを低下させることもあります。

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歯科でできること

糖尿病と歯周病は相互に影響し合う関係にあり、歯科医療は糖尿病管理に必要です。だからこそ、歯科の現場でも以下のような姿勢が求められます。

  • 患者の生活背景に寄り添い、「責める」のではなく「支える」姿勢で関わる
  • 歯周病と血糖コントロールの関連を説明し、共に取り組むパートナーとして位置づける
  • 地域の医科と連携し、患者にとって負担の少ない治療環境を整える

糖尿病患者が「ここでは責められない」と感じられる歯科診療は、治療の継続を後押しする重要な要素になります。

まとめ

糖尿病のある人への偏見や誤解(スティグマ)は、治療や生活の障壁になります。私たち医療者が正しい知識と共感的な姿勢を持つことで、患者が前向きに治療と向き合える環境を整えることができます。歯科医療もその一翼を担い、全身の健康を支えるパートナーとして機能することが期待されます。

【主な参考文献】

  • Schabert J, et al. Diabetes stigma: a review of the literature. Diabetic Medicine, 2013. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23322536/ → 糖尿病に対するスティグマが、自己管理の困難さや治療からの脱落に影響していると指摘。
  • Browne JL, et al. Stigma in people with Type 2 diabetes. Diabetic Medicine, 2013. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5241772/ →糖尿病に対するスティグマが、生活の社会的、感情的、糖尿病管理の側面に悪影響を及ぼした
  • 日本糖尿病協会 会報「さかえ」
  • 日本糖尿病協会登録歯科医 認定テキスト